暉崚康隆著  日 本 人 の 笑 い
「光文社」カッパブックス S36発行より 抜粋.
 
編集/画像挿入


江戸文学の中で、もっとも庶民的な、もっともユーモアと風刺に富んだ文学は俳界の落し子である川柳である。

俳句も初めは滑稽を看板として出発した民衆詩であったのだが、芭蕉が出てきて 「わび」 だの 「さび」 だの 「しおり」 だのと、すっかり反社会的な優美な自然詩にしてしまい、オツにすましたことのきらいな江戸の庶民はついていけなくなった。

そうした江戸庶民の要求にこたえて、俳句と同じ五・七・五という短歌形式で、いいたいことを言わせはじめたのが、初代柄井川柳という人である。

川柳は一切の虚偽虚飾をひっぺがして、すっぱだかの人間や人生をお目にかける。
セックスとても、その例外ではない。

いや、それどころか、彼らは好んでその機微をさぐり、そのための喜びや悲しみやみもだえを率直に指摘する。性器はもとより、閨房の秘戯におよぶにもかかわらず、直接に官能をシゲキするいやらしさや、しめっぽさがなく、微笑、苦笑、哄笑をさそってやまない。

それはなによりもまず、彼らが対象を突っぱし、客観的にながめているからである。
  
(著者・暉崚康隆氏 まえがきより抜粋)

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これはもともとは高校時代の友人の本である。
30年ほど前のことだが、記憶に残っているおもしろい本だったので、大切にしていたのを先日、本棚の隅で発見した。一人で楽しんでいてはもったいないので、抜粋してご紹介させていただく。

豊富な歴史知識とともに、英雄ややんごとなきところはおろか、神様の閨房?にまで、まさに自由濶達に粋な想像をめぐらす江戸の庶民に心から敬意を表したい。
それにしても、男の考えることは昔から変わっていないものだ・・・・・
編者 平成3年
かつて松戸ロータリークラブ会報に掲載したものです

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神も人なり
【神々のいとなみ】
 せんずりを クニトコタチの尊かき
 ふりまらで 豊芦原へご出現
そのむかし、日の本の国では初代クニトコタチの尊から三代目までは男の神
だから・・・

 あまったを 不足へたして人はでき
七代目の男女の神様イザナギイザナミから子孫を作る方法を発見 
古事記 日本書紀の記述)
古事記


我が身の元の処を以て、汝が身の元の処に合わせむと思欲ふとのたまう
ここに、陰陽始めて遘合して夫婦となる

日本書紀


故この吾が身の成り余れる処を、汝が身の成り合わざる処に刺し塞ぎて、国土生み成さむと以為ふ
生むこと奈何
【せきれいの教え】
 かよう遊ばせと セキレイ びくつかせ  
人類初めての行ないだから、やり方がわからない
それを
セキレイが教えたという日本書記の記述
 セキレイは 一度教えてあきれはて

 
一度そのよさを知ったが最後、原始のたくましさでのべつなされ、教えたセキレイもあきれたであろう、の意味
【雲上の嬌声】
 朕はもう 崩御崩御とのたまえり
神様だから死ぬとはいはない・・・
たぶん、「ほうぎょ、ほうぎょ」といったんだろう・・・
 あれいっそ 神去りますと橋の上
橋は天の浮橋
英雄の正体
【藤原鎌足・不比等】
謡曲 『海女
竜宮にうばい取られた玉を志度の海女は乳のを掻っ切って入れ、うばい返してきたとのこと・・・
 入れどころ もっていながら乳の下

なにも乳の下など切らなくても、ほかに方法があったんじゃないか・・・と江戸庶民のかんぐり
 またぐらに あてがってみる志度の海女
 乳の下か へその下かと大臣きき
海女も一応はサイズを調べたらしい
大臣(おとど)は藤原鎌足?不比等?

業平さんとは関係ありません

【美男の代表】
 業平は 高位高官下女小娘
在五中条業平・・・歴史に残る色事師

 業平が 為るたび伊勢は帳につけ
業平愛欲一代記・伊勢物語


【美女の代表】
 歌でさえ 小町は穴のない女
小野の小町
 気の知れぬ ものは小町の恋歌なり
マチ針は小町針  穴がない針
 そのわけを 知らず百夜も通えなり
 馬鹿らしさ あかずの門へ九十九夜
百夜通ってくれたらあなたに・・・を信じて、小町の処へ九十九夜通った深草の少将
百日を目前に死す!
 
小町さんとは関係ありません



百夜目に なにをかくさん穴のわけ
もしも約束通り百夜通いきったら、白状するか、す股でさせるか何とかしなけりゃならなかったはずだ、と江戸っ子は推測した・・・
百夜目は す股でさせるつもりでい
濡れごとは 雨よりほかにない女
【男色の開祖】
 故郷を 弘法大師けちをつけ

伝教大師の比叡山と弘法大師の高野山は女っ気なし
江戸庶民は弘法大師を男色の開祖と見ていた
 親鸞は 世をひろく見てあなかしこ
 弘法は裏 親鸞は表門


一方親鸞は女房持ち


空海

親鸞
【みずてんの元祖】
 妓王妓女 ころび芸者の元祖なり 妓王妓女は清盛の女  姉妹の白拍子
 清盛は 仏のために迷わされ   妓王妓女のあとがまは仏御前
【後家ぐるい】
 金玉を つかめつかめと長田下知
 常盤めを  これでと長田にぎってみ



源義朝は平治の乱に破れ東国へ逃れる途中、尾張の長田庄司に風呂に入っているところを殺された・・・
その殺害の現場の様子
 義朝と おれとはどうだなどと濡れ

  
義朝の愛妾はかの常盤御前
常盤御前を手に入れたのは平清盛
 貞女両夫にまみえたで源氏の世   源義朝のあとは平清盛(常盤当時23歳)

【ひよどり越え】
 うしろから ぐっと乗りこむ一の谷
 添乳して いるのにひよどり越えをする
江戸っ子の考えるのは別の鵯越え


【男装の天子】
 めめっこを おちんこなどと 二位の尼
 人の見ぬほうへ二位殿ししをやり


  
安徳帝は実は女の子だったのを清盛が男子といつわり帝位に付けた?

だから、
二位の尼は安徳帝におしっこをさせる時も、人目につかない様にさせた・・・
江戸っ子の想像力には脱帽
【にたり貝】
 一門は 蟹と遊女に名を残し


平家一門は壇の浦の藻屑と消え、その怨霊は平家蟹と化したが、上陸した官女は生活に困り遊女となった
下関稲荷町遊廓のはじまり?

平家蟹



あかねさすまで 帰さぬと下の関
なにせ官女上がりの遊女だから、「夜の明けるまで帰さないわヨ」、というところを、「あかねさすすまで帰さぬ、とい っただろう・・・と推測

平家の怨霊
門院は 赤貝にでもなるところ
安徳帝の母建礼門院は入水したが助けられた・・・が、もし死んでいたら男の平家蟹 に対して、赤貝にでもなったのではないか・・・
義経も 母をされたで娘をし
義経の母・常盤御前は清盛が・・・だから清盛の娘・建礼門院は義経が・・・
【見かけだおし】
膝枕 政子の股にしびれきれ
おつむりと 下は違うと政子いい
頼朝は大頭だったが、下は人並みであったとか・・・そこで押しかけ女房の北条政子

建礼門院
 初産に 常盤は裂けたかと思い
頼朝の母常盤御前が大頭の頼朝を産んだ時

でもほんとうは頼朝の母は常盤ではない

 二度目には ときわ御前は やすく産み
義経は常盤御前の子 なんせ最初が大頭の頼朝だったから、二番目は楽だったろう・・・(








【女上位】
 あれいっそもうに 義仲動かれず
  
 死にますと  いうと義仲ゆるせ死ぬ
  
 抱きしめられて木曽殿度々気絶
義仲の愛妾巴御前は名だたる女丈夫
その巴にしがみつかれたら義仲も動けない
 ちゃうすかと 思えば巴首をかき
茶臼は四十八手の女上位の体位
 悪いこと よしなと巴首をぬき
巴に組み敷かれた男武者が、合戦中にもかかわらず、妙な気分になってちょっかいを出そうと思ったら、首を引っこ抜かれた
【一生一交】
 弁慶と 小町は馬鹿かだなあ かかあ   弁慶は一生不犯  小町は無穴  わかる!
【おまけ】
 縄のれん 毛深いように出はいりし 著者あとがきより/暉崚康隆氏作
つづく..................
しばらくお待ちください.

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以上抜粋再編 平成 3年*
Web 平成13年*