『誰が日本を収奪しているのか』chom
平成4年に書かれた論文で、当時、ちょっと気になりまとめたものです。
国債は、国家緩急時(戦争/天災等)に発行するべきもの。これが日常的に行われていることに警鐘を鳴らしたものです。
三年後の平成七年に
阪神大地震、その後の不況は現在にいたり、平成1328完全失業率5%
そうした予感を、政治家より敏感に感じた国民は、痛みを伴う改革を選択・・・・・
古く、またちょっとかたい記事ですが、現在を見事に予測したもので、いよいよ構造改革具体論の出始まる今、関心のある方の御参考までに・・・・

国債発行残高240兆円(平成4年時)の中での国際貢献
『誰が日本を収奪しているのか』
水谷研治(東海銀行常務取締役調査部長)

文芸春秋 月刊『諸君!』 平成4年7月号’(阪神大震災 平成7年
(※円ドルのレートも当時のもの)

地球環境賢人会議
1992年4月 地球環境保全に必要な金 1250億ドル(年間16兆円)
そのうち日本は 20〜25% 3〜4兆円
ODA
110億ドル・・・世界最高額 1兆4300億円
  向こう5年間で150億ドルにする 2兆1450億円 無償援助 2125億円
G7
国立国家共同体(CIS)240億ドル 約3兆円のうち日本も大幅に分担
年間合計 5〜6兆円
他に湾岸戦争には1兆6000億円
同時期の財界 「不況脱出のための公共投資」の大合唱
「日本にそんなにお金があるのか」・・・・「ない」・・・・・しかも「大借金国家」
マスコミの認識
OECDの閣僚理事会において採択された共同声明についてのマスコミ報道

当面の政策では、財政が健全で大幅な貿易黒字を持つ国へのより一層の内需拡大要請が明記された。日本は名指しこそされなかったものの・・・・内需拡大の強い要請を受けたことになる

・・・・・しかし実体は「健全」どころではない むしろ「悪化」
 国債発行額が増大
赤字累積のための国債 170兆円
    その他政府の借金 65兆円    計 235兆円
    他に旧国鉄債務       林野特別会計債務
 日米は二大借金国
戦前の日本 軍事費のために財政は常時赤字
日中、太平洋戦争で財政赤字はさらに膨れあがる
戦後の日本 戦前の反省から均衡財政主義の確率
1949年のドッジラインによって「超均衡予算」を実施  以来借金なし
1965(昭和40年)
証券不況(山一証券の破綻
国内需要の落ち込み → 税収激減 → 【赤字財政】
支出削減又は増税 → さらに景気下降
本格的国債発行 → しかし神風「いざなぎ景気」到来
→ 再び高度成長
→ 「均衡財政」に戻る
この間ニクソンショック・・・円切上げで乗り切る
1974(昭和49年)
実質GNPが戦後初のマイナス
1975(昭和50年)
オイルショック→ 石油不足の恐怖から大インフレ → 翌年反落して大不況
景気の落込み回復のため公共投資を増額・大減税
典型的な「ケインズ主義」に基づく財政政策 → 奇跡的な回復
証券不況 (山一証券の破綻)
  好景気に財政再建をするべき
  借金を減らす公共投資を削減  減税分を増税・・・・しかし国民に不評
      国民:好況による税の自然増収は黙認
         増税・政府支出の削減は歓迎せず
 第二次オイルショック
財政再建棚上 → 再び景気振興策
           以来連続赤字財政・・・・・結果借金は 235兆円
 1990年度
行財政改革によって財政再建実現
  実体は建設国債と赤字国債を分離
  赤字国債発行ゼロの目標設定・実現
  達成は「バブル経済」による
 1991年
不景気 → 税収減少 → 財源不足・・・・・92年度予算は赤字国債発行予定
海外との比較においても日本の状況は悪い
イギリス
かつては借金国
国の借金残高はGNPの5割超
戦後労働党政権下の社会主義政策により福祉政策
  → 社会保障充実・国民生活向上
  → 働くことが軽んじられ生産活動低下
  → 膨大な国の借金
  → 金利の支払いだけで降参

サッチャー:「何としてでも借金を減らす」
         ・ストライキの規制
         ・行き過ぎた社会保障をカット
        10年で借金の対GNP比率下げる
日本・アメリカ
先進5ヵ国の中の二大借金国
1970年代から借金を連続増加させる
国家債務がGNPの5割(日本・平成5年度のGNP約470兆円)
国家を食い物にする国民
マスコミ・一般国民 もろてをあげて国際貢献・公共投資の増加に賛成
財政赤字が社会問題化しない
理由 国民に切迫感なし
財政に無関心・自分とは無縁
不況になると公共投資の増額を政府に迫る
社会保障の増額を要求
「親方日の丸」的感覚でプラスを求め、マイナスには目を覆う
国家:

国民のためにあり、将来にわたって国民に幸福をもたらすためにある
国民: ある程度の負担を強いられ、結果として国家から恩恵を受ける
→ 人間としての当然の権利
   しかしエスカレートすると「税金は少なく要求は大きく」
 近代民主主義国家
「国民大衆」の意見が第一
「税金は少なく 要求は大きく」・・・・・・・・・・・・・・この矛盾が矛盾と感じられない
     国家は借金を重ね国民要求に応える・・・「国民による国家の収奪
     235兆円の借金による支障なし → 日本の特殊性による
 日本の特殊性「モノが余っているということ
余剰購買 → 余剰生産 → 雇用増大 → 好景気 → 経済拡大
   個人・企業の購買の限界を越えると「国家」が替わって買う
日本・・・過剰供給力保有国家  世界で日本のみ
アメリカ 第二次大戦後は圧倒的供給力
1930年代の大不況の恐怖 → 供給力の削減 → 需要の振興
   供給力低下 需要の増大・・・・・・ 致命的経済構造
   モノ不足 → インフレ → 輸入・・・貿易赤字の増大
   財政赤字・貿易赤字・・・・・・・・・ 双子の赤字
日 本 供給過剰・・・・・財政赤字圧縮のために需要を抑制
               → 不況 性的ケインズ政策
赤字財政によって日本経済は拡大・・・金利支払いだけで年間12兆円
国といえども借金は返済すべきもの 金利も支払うべきもの
金利支払いだけで年間12兆円  92年度予算72兆円の17%
アメリカでさえ15%
92年度一般歳出は39兆円 金利がなければ51兆円使える
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 江戸時代の大晦日・・・その年の借金を返済
・・・赤字国債は2・3年で返済が理想
・・・当初 建設国債60年(設備資金
・・・    赤字国債10年(運転資金
・・・   現在 ともに60年返済
建設国債の60年は長すぎ 公共施設の平均耐用年数は37年(経済企画庁)
                 民間は耐用年数の半分以内  せめて20年
不測の事態 「戦争」 「大地震」 に対応
  危急存亡の時に「借金」できる体制
この後阪神大震災(平成7年1月17日)
  平和な時代に膨大な借金を作ることの不合理 → 将来の国民が借金を負担
  過剰供給力にかげり  高齢化 → 労働人口漸減 20年継続
  モノ作れず → 働けない → 経済衰退
  国債返済・金利負担……子孫が負担
 健全財政への道
支出を減らす・・・ @
収入を増やす・・・A
 @ 政府機能の削減
公共サービスの削減
公務員の削減
  務員新規採用を年1割削減 → 5年で半分
社会保障の水準を引き下げる
公共投資も減少 → 不景気を覚悟
.
 A 税収を増やすあ・
→ 増税
累進税率の引き上げ → 働かなくなる(イギリス
イギリス  
  所得税の最高税率 かつては80%!!!
  → 「刻苦勉励」は死語  英国病
サッチャー 最高税率を40%へと半減させる
「金持ち優遇策」の声に対するサッチャーの反論
お金を儲ける人を優遇します。だからあなたも働いてお金を儲 けなさい
レーガン 最高税率を28%にする

日   本 50%
累進税率を引上 → 金持ちが国外移住
企業増税  貿易の黒字分を吸い上げる説
 → 企業のやる気をなくさせる
 → 競争力低下
 → 経済繁栄の基礎瓦解・・・米英のたどった道
   税金逃れに企業の本社海外移転
サッチャー  レーガン
法人税率を下げる
消費税 ヨーロッパ各国の消費税 15〜16%(20%もあり)
日本も15〜16%は覚悟の必要あり
増税・政府支出削減 → 不況到来を覚悟
    
 益税・不公平課税・申告方法の見直しの必要
 迫られる選択
○さらに借金を続け消費生活を享受するか?
○子孫を考え生活レベルを落とすか? 
 欲望の限定
  国家に対しての要求を減らし、国家に援助を求めない  国民は自助努力
  このままで明日の米国だ 
 米国は復活
 国民・財界
バブル期に儲け バブル崩壊後は・・・減税・公共投資・公共事業の前倒し発注
  「親方日の丸」に頼る・・・・・真の自由主義ではない
  「国家はいくら収奪しても大丈夫」?

しかし収奪され続けると強者は強者でなくなる
国家財政が破綻した国の悲劇
   開発途上国に多くの例
   激しいインフレによって国民の経済生活は破壊
   ソ連の場合は国家そのものが解体
アメリカ
財政悪化による不景気においても財政出動で景気を良くする力なし
日本もこのままでは明日のアメリカ
 ・ 地球環境保護
 ・ CIS
 ・ 開発途上国への援助
    国際貢献の名目で数々の資金援助
    「日本は貧乏なんだ」と言うべき




前述の「財政が健全で大幅な貿易黒字を持つ国・日本・・」というマスコミの報道は、あたかも「勝った勝った」と言っているうちに負けてしまったかつての大本営発表と似ている。 実体を報道するべきである

「日本の民間には金がある」の声
アメリカには桁違いの金持ちが多くいる
→ それができぬなら日本にも要求すべきではない
  国という強者が弱者になった時  「国民が嘗める塗炭の苦しみ」
ドイツにおける公共ストの際のドイツ社会に関する論評
(ドイツ在住の日本人より)

なぜ国民がストをし、そのストを許しているか本当の理由を知ってますか。
国民が営々と働いて得たお金が、ロシアや東欧や旧東独のために流出してしまう。
みな怒っているので すよ。日本人はやはりおとなしいですね


追補
 関東大震災を読みなおす

    復興インフレから金融恐慌へ 
『週間 東洋経済』 2/4号抜粋

 1923年 大正12年9月1日
関東大震災 7府県の被害総額 45.7億円
当時のGNPの3割 現在に換算すると180兆円
生産工場破壊 東芝・従業員休職 一時解雇
金融界 138支店のうち88%の本店焼失
横浜全滅・日銀被災 金融機能完全痳痺
東京証券取引所 新株半値
 1924年
経済界は震災景気に沸く 復興政策
国債増発を財源に復興5ヵ年計画
15.5億円(一般会計20億円)  日銀特融(震災手形保障法)4.3億円  インフレ要因となる
生活物資・復興資材確保のため輸入激増(輸入税減免)
対ドル円レート下落は3割を越す
→ 円安で輸出好転
ミニインフレで経済界は一息 震災景気は1〜2年で終了
  金融引き締めを契機に徐々に悪化
 1927年
金融恐慌
その後日中戦争・太平洋戦争
 状況の考察
第一次大戦の戦争景気の反動的不況(1914〜1918)(バブルの崩壊)
・ 戦後需要を前提とした損益分岐点上昇
・ 企業が抱えていた「不良資産」 現在と同じ
放漫経営によって破綻している企業にも銀行融資を継続
政府・日銀は信用秩序維持を名目に看過
問題企業・問題銀行を震災手形の悪用で延命させる
 平成7年1月
政府・日銀は日銀出資の救済銀行を設立 → 特融
破綻するべくして破綻した金融機関を救済 状況・政府の対応まで酷似




戦前と現在の日本の国力の差の声
戦前・・・軍事費  戦後はゼロからの再出発
現在・・・企業借入 個人ローン 貿易摩擦 報復的円高 
      高度科学技術設備   マイナスからの再出発